ICT アイ シー ティー
情報・通信に関する技術の総称。従来から使われている「IT(Information Technology)」に代わる言葉として使われている。海外では、ITよりICTのほうが一般的である。
ICT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」の略であり、IT(Information Technology)とほぼ同義の意味を持つが、コンピューター関連の技術をIT、コンピューター技術の活用に着目する場合をICTと、区別して用いる場合もある。国際的にICTが定着していることなどから、日本でも近年ICTがITに代わる言葉として広まりつつある。
ITは、コンピューターやデータ通信に関する「情報技術」を意味し、パソコンやインターネットの操作方法から、それらを構成するハードウエア、ソフトウエアの応用技術までの幅広い範囲の総称である。日本では、2000年11月にIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)が制定され、01年1月に「e-Japan戦略」が策定された頃からITという言葉が広まった。
「e-Japan戦略」では、5年以内に世界最先端のIT国家となることを目標とし、その手段として、高速インターネットを普及させるための技術やインフラ整備を重要視した。このため、ITは技術そのものを指すことが多かった。
しかし、「e-Japan戦略」の後継となる「u-Japan政策」では、「いつでも・どこでも・何でも・誰でも」簡単にネットワークが利用できる「ユビキタスネット社会」を実現するために、世代や地域を超えたコンピューターの利活用や、人と人、人とモノを結ぶコミュニケーションを重要視している。このような背景から、総務省では「IT政策大綱」を05年には「ICT政策大綱」と改称するなど、u-Japan政策の推進に伴い、コミュニケーションというキーワードを含むICTを積極的に活用している。また、教育現場においても、文部科学省が公立学校においてパソコンやデジタルテレビを導入し、子どもたちの情報活用能力の育成を図るための「ICT環境整備事業」を展開している。とはいえ、経済産業省や商工会主催の企画には「ITパスポート試験」や「IT経営応援隊」など、未だに「IT」を使うことも多く、完全にICTに統一されるには、まだまだ時間がかかるようである。
(横田一輝 ICTディレクター / 2010年)
出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報
アイ‐シー‐ティー【ICT】[information and communication technology]
《information and communication technology》情報通信技術。
[補説]ITとほぼ同義。日本では、情報処理や通信に関する技術を総合的に指す用語としてITが普及したが、国際的にはICTが広く使われる。